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〈2〉「理念・ビジョン・ミッション」強調パターン

 

 次に挙げるのは「理念」や「ビジョン」などは掲げているのですが、それを実現するために必要な「事業計画」や「戦略」が欠けているパターンです。

 

 このパターンの会社は、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」「クレド」「コンセプト」等々、自社の存在意義や使命、社長の思いなどをさまざまな表現を駆使して内外にアピールしています。横文字が多いのも特徴です。

 

 近年、「経営理念」の重要性が中小企業にも浸透してきたため、このパターンの「経営計画」をつくる会社が非常に多くなっています。社長が崇高なビジョンを掲げ、思いも強いため、その理念が社員までしっかり行きわたっている場合もあります。ところがそのようなところでも、どうやってこれを実現していくのか、そのプロセスが明確になっていないため、成果につながっていないことが多いのも事実です。

 

 これではきちんと収益を上げ、それをお客様や社員に還元し続けることができる会社になるのは難しいでしょう。

 

 二宮金次郎の名言に、

 

「道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は、寝言である」

 

 というものがあります。この言葉にあてはめると、こうした会社のやっていることは、まさに「寝言」そのものです。

 

 社員のモチベーションが高いにもかかわらず、業績が上がっていない会社は要注意です。

 

〈3〉業務規則集パターン

 

 最後にご紹介する「経営計画」もどきは、会社の規則やルールをまとめたものを「経営計画」としているパターンです。

 

 具体的には、「接客のルール」「報告・連絡・相談のルール」「クレーム対応時の取決め」「勤怠ルール」などを細かく規定し、「経営計画」として運用している会社です。

 

 これらの規則やルールとともに「顧客満足度ナンバーワン」「全員営業」などの標語が掲げられたりしているパターンもありますが、総じてあいまいで何を目指すのかが明確でない場合が多いようです。このようなルールを定め、社員に守らせるのも大事なことですが、将来の会社の成長、発展を実現する「経営計画」とはならないでしょう。

 

 いかがでしょうか?

 

 すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ご紹介した「経営計画」もどきは、いずれも本来の「経営計画」に必要な内容がいくつか不足しています。

 

 もし、あなたの会社の「経営計画」が3パターンのいずれか、もしくは複数にあてはまる場合は、本書でご紹介する「経営計画」の内容に必要な10項目を作成して、そこに加えてみてください。10項目の順番にそって、すでにできている内容を当てはめていくやり方でもいいでしょう。

 

 今ある「経営計画」が、間違いなく、実践的かつ効果的なものにレベルアップするはずです。

 

●成功する中小企業の「経営計画」づくり三つのポイント

 

 それでは、会社を成長・発展に導く「経営計画」づくりのポイントをご紹介します。

 

〈1〉5年以上先までの「数値目標」を立てる

 

〈2〉「戦略」を具体化する

 

〈3〉「人材育成計画」を盛り込む

 

 この三つです。

 

 それぞれご説明しましょう。

 

〈1〉5年以上先までの「数値目標」を立てる

 

 あなたがこれから会社を成長・発展させたいのならば、「いつまでに」「どのくらい」発展させたいのか、数値で明確にして経営に取り組みましょう。目標を具体的に数値化することで、達成の確率は格段に高まります。

 

 単年度(当該年度)の数値計画しか立てていない「経営計画」では、会社の成長・発展≠フための計画とはいえません。5年以上先までの「数値目標」を明確にしましょう。

 

 ですが、こういうと、次のような反論が必ず出ます。

 

「山元さん、こんなに環境変化のスピードが速い時代に5年先なんて予測しても無駄だよ」

 

「壮大な目標を掲げて、社員がもしついてきてくれなかったらどうしよう……」

 

「目の前の目標に集中して必達を目指すことで、将来が開け、ビジョンも見えてくるんだ」

 

 こうしたご意見に対して、私はいつもこう答えます。

 

「社長、だからこそ5年以上先の目標が必要なんですよ!」

 

 環境の変化が速いからこそ、先を予測するスキルを磨く必要があるのです。変化をいち早く察知し、チャンスを活かせる能力を社長、幹部が身につけるために5年以上としているのです。

 

 また、会社が単年度の目標しか掲げないと社員は不安になります。社員の立場になって考えてみてください。自分の会社の将来が「いつ」「どうなる」のかがわからない(数値や言葉で明確になっていない)。そんな会社であなたは全力でがんばる気になれるでしょうか?

 

 そして、単年度の目標だけでは、社員たちが今、必達に向けて集中して取り組んでいることが間違っている可能性もあります。本来、先の目標が決まらなければ、目の前の目標は決まらないはずだからです。将来の目標を実現するために、目の前の目標に集中できるのです。

 

 これが5年以上先の「数値目標」を立てるべき理由です。

 

〈2〉「戦略」を具体化する

 

 35ページの「目標と戦略の関係@」をご覧ください。

 

 5年後の「数値目標」を決めたら、そのプロセスを決めなければなりません。

 

 このプロセスが「戦略」です。

 

 つまり、「戦略」とは、どうやって目標を達成するのか、その手法、打ち手、仕組みを明確にしたものです。

 

 こうして考えると「戦略」は目標達成のために必要なものとご理解いただけるでしょう。ところが、この「戦略」を明確にしていない会社が非常に多いのが実態です。